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【第一話】”清水慶記さん(元ザスパ群馬)に迫る”新たな挑戦~クラブと地域と、自分の想いを繋ぐ~
PROFILE
清水慶記|よろこびをしるす。/ザスパ群馬アンバサダー KEIKI_SHIMIZU
清水慶記(しみず・けいき)1985年群馬県出身。2008年に、流通経済大学から大宮アルディージャへ入団。2013年にプロ6年目で初出場を果たす。 2016年より地元・群馬県をホームタウンとするザスパクサツ群馬に期限付き移籍。同年はリーグ戦全試合を先発でフル出場を果たした。 2018年よりブラウブリッツ秋田に期限付き移籍し、シーズン終了後、大宮へ復帰。その後は 2020年にザスパクサツ群馬へ完全移籍。 4シーズンプレーしたのち、2024年1月6日に現役引退が発表された。Jリーガーとして、150試合以上に出場する記録を残した。 現在は、自身でチョコレートブランドを立ち上げながら、ザスパ群馬のクラブアンバサダー、アカデミーコーチも務める。
PROFILE
清水慶記|よろこびをしるす。/ザスパ群馬アンバサダー KEIKI_SHIMIZU
清水慶記(しみず・けいき)1985年群馬県出身。2008年に、流通経済大学から大宮アルディージャへ入団。2013年にプロ6年目で初出場を果たす。 2016年より地元・群馬県をホームタウンとするザスパクサツ群馬に期限付き移籍。同年はリーグ戦全試合を先発でフル出場を果たした。 2018年よりブラウブリッツ秋田に期限付き移籍し、シーズン終了後、大宮へ復帰。その後は 2020年にザスパクサツ群馬へ完全移籍。 4シーズンプレーしたのち、2024年1月6日に現役引退が発表された。Jリーガーとして、150試合以上に出場する記録を残した。 現在は、自身でチョコレートブランドを立ち上げながら、ザスパ群馬のクラブアンバサダー、アカデミーコーチも務める。
インタビュー:佐藤豪
話者:清水慶記
【セカンドキャリア編】
今回インタビューを受けてくれたのは、清水慶記さん。流通経済大学を卒業後、2008年に大宮アルディージャに入団。その後、ザスパクサツ群馬、ブラウブリッツ秋田、大宮アルディージャ、再度ザスパクサツ群馬と渡り歩き、2023年シーズンをもって引退。
引退後は、ザスパ群馬のアンバサダーを務めながら、自身でも起業。「よろこびをしるす。」というチョコレートブランドを開発し、製造販売も行っている。
セカンドキャリアでの歩みや、そこに対する思いや今後の展望などを伺った。ぜひ多くのサッカーファンに、そして現役Jリーガーにも届いてほしい。
清水慶記さんの今
佐藤豪:
慶記さん、今日はありがとうございます!早速始めさせていただければと思います!よろしくお願いします。
慶記さん:
よろしくお願いします。
佐藤豪:
JLINEメディアとしては、セカンドキャリアとしてどんなことにチャレンジしているのかを多くの人に知ってもらいたいというのが、一つの主旨でもあるんですが、
Jリーガーのことを、キャリアを変えても応援する人が増えたり、社会とつながって相互に社会を良くしていくような世界を描きたいというのが、このメディアの趣旨ですので、ぜひいろいろお聞かせいただけたら嬉しいです!
慶記さん:
はい。OKです。お願いします。
佐藤豪:
早速ですが、引退された今、セカンドキャリアを歩まれている中で、いろんな感情があると思いますが、思い描いていた感じなのか、それとも違うなと感じることなど、率直にお聞かせいただきたいです。
慶記さん:
そうですね。今のところ純粋に楽しいと感じることが多いですね。サッカーをやっていた時、小学生の時は、楽しくてサッカーを始めたわけですが、中学校、高校、大学と進むにつれて練習や競争が厳しくなり、プロになっても辛いなと感じることも、多かったんです。でも、根源は、やっぱり好きだから、楽しいからサッカーを始めたんだという気持ちがありました。
佐藤豪:
なるほど。
慶記さん:
プロの世界に身を置く中で、もちろん良いこともあれば、そういった辛いなという感情にも向き合いました。その経験から、今のビジネスを始めたのは、やっぱりその原点に戻るべきだと思ったんです。要は、好きとか楽しいとか思えるかっていう部分。
サッカーしかやってこなかった自分が、チョコレート作りや飲食業に入る中で、いろいろなことを学びました。例えば、検査や衛生管理の資格、ロゴの制作やまつわる商標登録など、初めてのことが多く、世の中の動き方を知りました。それが新鮮というか、楽しいというか。
<よろこびをしるす>http://yorokobiwoshirusu.jp
佐藤豪:
うんうん。
慶記さん:
ビジネスのノウハウを20代の頃に学べていなかったので、失礼なことも多かったかもしれませんが、それも含めて学びの多い期間になっています。それ自体は、すごく楽しいと感じるんですよね。
佐藤豪:
なるほど。
セカンドキャリアとしての活動自体は、引退前から取り組んでいたお菓子作りや、ザスパ群馬のクラブアンバサダー、そしてアカデミーのコーチなどされていると思うのですが、アンバサダーとしては、今どんな活動をされているのでしょうか?
慶記さん:
基本的にはイベントごとが多いです。例えば、群馬県内のマラソン大会に参加したり、障害者のサッカー教室で一緒に楽しくワイワイやったりしています。ザスパから依頼が来て、その依頼に応じて活動しています。
佐藤豪:
なるほど。ザスパの顔として地域とつながる役割を果たしているのですね。
慶記さん:
そうですね。アンバサダーというと、解説やスタジアムのMCをするイメージもありますが、私はザスパの限りある経営資源の中で、スポンサーさんにメリットを感じてもらいたいと思い、そういったイベントごとを通じて企業同士をつなげる役割などをさせてもらっています。
佐藤豪:
なるほど。非常に重要な役割。
慶記さん:
スポンサーさんにザスパにお金を出す意義を感じてもらいながら、そこに合わせて、自分の事業も絡めて活動させてもらっています。
セカンドキャリアに繋がる、様々なきっかけとは。
佐藤豪:
なるほど。クラブからの依頼で、そういう役割を担われているということで、そもそもアンバサダーという肩書もそうですが、これまでのクラブとの関係性や密着度が依頼の背景にあるのでしょうか?
慶記さん:
そうですね。私はザスパに入った当初、名前が清水慶記(けいき=ケーキ)ということもあり「ゲームパティシエ」というキャッチコピーをいただき、そこからいろいろな活動が始まりました。
奥さんからバレンタインデーにチョコをもらったことがきっかけで、冗談で「このチョコ売れそうじゃない?」という話をしていたりもしてて、、
佐藤豪:
そんな会話が。
慶記さん:
その冗談がきっかけで、実際に、スタジアムで僕自身がお菓子を出す企画に繋がり、スポンサーさんにも興味を持ってもらえたんですよ。自分のチョコを手作りしてスポンサーさんに配ったりして、企業さんとのつながりができた部分も、あったんです。
佐藤豪:
なるほど。すごい行動力です。
慶記さん:
結果、ザスパのスポンサーになる意義を感じてもらうことができた側面も生まれましたし、企業さん同士をおつなぎする役割を果たしながら、自分の事業もコラボレーションさせてもらえている状況かなと思いますね。
佐藤豪:
なかなか無いケースですよね。
慶記さん:
個人的には、ザスパがビッククラブのように資金が潤沢ではない中でも、セカンドキャリアまで意識してくれるクラブだということを示していけたらいいなと思ってるんです。僕はひとつのロールモデルでありながら。
様々な背景もありながら、これまでの取り組みも含め、クラブの内部の方とも密に連携していたことで、アンバサダーの立場をいただけたのだと思います。
佐藤豪:
そのアクションができるのは本当にすごいですね。信頼もそうですが、そもそも取り組むことへの熱量がないと伝わらないものだと思います。
その辺りの”好き”やチョコレート、お菓子、ケーキに対する思いはどこから生まれたのでしょうか?
慶記さん:
基本的に甘いものが好きでした。奥さんが作ってくれるチョコがとても美味しくて、もっと頻繁に食べたいなと思い、レシピを教えてもらいました。それで自分で作るようになり、休みの日に作ったりしていました。
佐藤豪:
うーん、なるほど。そこが始まりだったんですね。
慶記さん:
ブラックコーヒーと合わせて食べると美味しいなと思うようになり、それが自分のリラックスする時間になりました。プロのパティシエの方にはおこがましいかもしれませんが、体脂肪を気にしながら作りつつも、自分が美味しいと思うチョコレートを作りたいという気持ちがありましたね。
佐藤豪:
なるほど。
慶記さん:
それで出したチョコレートが美味しいと言ってもらえると、とても嬉しいんですよね。自分が美味しいと思う、そしてそれを食べた人がまた美味しいと思ってくれると、それが嬉しいというか、喜びというか。
セカンドキャリアを現役中から意識することに対する考え方
佐藤豪:
その喜びがおおきな原動力になっているのですね。
関係者にチョコを振る舞っていたという話は一つの営業力ですよね!
ただ一方で、他の現役選手や引退された選手と話しをしていると、試合に出ていない時に違う活動をすることに対しての見られ方やプレッシャーを感じることもあるようです。その辺りはどう感じましたか?
慶記さん:
おっしゃる通りで、私もそのような活動をしていると自分でもどう見られるか気にしていました。恥ずかしい気持ちやプレッシャーもありました。
でも結局、やっぱり行動を起こさなければセカンドキャリアは豊かにならないと感じたんですよね。
佐藤豪:
なるほど。
慶記さん:
行動を起こすことで、セカンドキャリアも広がると思います。家族もいて、仕事を見つけなければならない状況で、自分のメンタルの変化も含めて、行動を起こす必要がありました。
佐藤豪:
なるほど。稚拙な質問で恐縮ですが、リアルな声というか、いわゆる陰口的なものなどは耳に入りましたか?
慶記さん:
いや、それはあったとしても特に気にしませんでした。実際に、誰も自分自身のセカンドキャリアを保証してくれるわけではないので、自分で動くしかないと思っていましたね。
佐藤豪:
なるほど、もう気にしないという感じですね。
慶記さん:
そうですね。むしろ、それが当たり前だと思ってほしいです。本当に、誰も保証してくれるわけではないので、自分で動いておく必要があるんだよと。
佐藤豪:
なるほど。
慶記さん
サッカーだけをやって指導者になるという目標があるなら別ですが、他のことにも興味がある選手は、同時進行でキャリアを築くことが重要だと思います。
佐藤豪:
なるほど。逆に、そういった、サッカー以外の違う取り組みが、プレーに生きる部分もあるのでしょうか?
慶記さん:
そうですね。コミュニケーションの仕方や社会人としてのスキルも役に立つと思います。ビジネスパーソンと話す中で、何を進めるにも相手の意見を聞くことが重要だと感じました。これは、サッカーでも一緒ですよね。
佐藤豪:
なるほど。現役中のサッカー選手でも、興味のあることにはどんどん挑戦した方がいいという考えですね。
慶記:
そうですね。やはりサッカーだけをやっている人たちは、他のことに挑戦する機会が少ないです。他の活動を取り入れていくことって、重要だと思います。やはりサッカー以外の接点を持つことは、選手もですが、結果クラブにとっても良いはずですし。
佐藤豪:
なるほど。
慶記さん:
スタジアムに来る人はサッカーが好きですが、サッカー以外のことで興味を引くことも大事だと思うんです。
佐藤豪:
そうですよね。
奥さんのチョコが美味しいというところから始まり、ここまで膨らませるというのは当初は考えられなかったと思います。他の選手も自分の趣味や好きなことを発展的に考えてみることが大事だと感じました。
慶記さん:
やはり、好きなことが仕事になると良いですね。挑戦しないで後悔するよりも、挑戦してみることが大切だと思います。
佐藤豪:
なるほど、ありがとうございます。
具体的に今の一週間のスケジュールはどんな感じなんでしょうか?
慶記さん:
そうですね、3月に法人を登記して起業したんですが、平日は自社業務と、義理のお父さんが電気工事の仕事をしているので、週に3日ほど電気工事の仕事を手伝っています。
佐藤豪:
なるほど。
慶記さん:
平日、アカデミーの仕事は午後からなので、午前中はチョコの営業をしています。
佐藤豪:
なるほど。チョコの製造自体はどうされているんですか?
慶記さん:
パティシエさんに委託してチョコを作ってもらっています。自分の店舗がないので、パティシエさんと契約して製造してもらったものを販売しています。
佐藤豪:
そのパティシエさんとはもともとつながりがあったのですか?
慶記さん:
いや、もともとあったわけではなく、紹介していただいて知り合いました。タイミングよく、店を閉じて次を考えている方で、手が空いている時期だったのでお願いしたのがきっかけです。
佐藤豪:
なるほど。委託の形で売れた分の何パーセントとか、そんな契約?
慶記さん:
パティシエの方にはバイト的な時給でやってもらっています。いずれは自分で店舗を持ったり、キッチンを借りて奥さんと一緒に作ったりしたいと思っています。
佐藤豪:
なるほど。
慶記さん:
販売ルートとしては、ホーム戦ではGCCアグリテックさんと協同でキッチンカーを出して販売しています。また、自分のECサイトでも販売しています。
道の駅や居酒屋、コーヒー屋さんでも置いてもらっています。企業さんとの取り組みもあり、いろいろな場所で販売できるようにはなってきています
佐藤豪:
なるほど。素晴らしいです。
慶記さん:
法人向けに使ってもらえるように、営業していたりもします。自分のストーリーを乗せて、商品を広げていきたいという思いもあるので。
考え方としては、贈答品として活用いただけるようにしていきたいと考えています。
佐藤豪:
なるほど。しっかりと利用されるシーンも設計しているのですね。
今は土台を作っているフェーズとも言えるでしょうか。今後の、キャリアとしての展望はありますか?
慶記さん:
そうですね、まずはビジネス的な目標で言うと、チョコ一本で食べていけるようにしたいですね。今はアカデミーの仕事や電気工事の収入もありますが、将来的にはチョコ一本でやっていきたいです。
佐藤豪:
なるほど。
慶記さん:
最終的にはセカンドキャリアの選手を雇ってやっていけるようにしたいんですよね。
佐藤豪:
それは素晴らしい目標ですね!
慶記さん:
あとは将来的には、自分のキッチンカーや店舗を持ちたいとも思っているんです。ザスパのホーム戦で、サポーターの方々に、想いを乗せて届けて行きたいんですよね。
ザスパ群馬に対する想い
佐藤豪:
なるほど、ありがとうございます。ザスパ群馬自体に対しては、アンバサダーという立場も含めて、どのように貢献したいと考えていますか?
慶記さん:
そうですね、この数年間で、クラブはクラブハウスができて、練習環境も改善されました。昔は練習場を転々としていて、シャワーすら浴びれない時もありましたが、今はほぼ固定の場所でシャワーも浴びられるようになっています。この環境が当たり前ではないことを知ってもらいたいですよね。
佐藤豪:
なるほど。それは選手に対して?
慶記さん:
そうですね。選手たちに対してですが、これからザスパにかかわってくれる方たちにも含めてですかね。地元のクラブとして、ザスパ草津からザスパ群馬に変わった歴史も知ってもらいたいです。新しいサポーターが増える中で、選手には、その歴史やクラブ愛を持ってプレーしてもらいたいと思います。
佐藤豪:
こういった質問をすると、クラブの勝利や昇格に貢献を!という回答も多いような気もしますが、クラブの歴史を伝えていきたいと。
慶記さん:
もちろん、最終的にはクラブを昇格させたい、そのために貢献したい!という思いもありますが、クラブ愛を持ってプレーすることが大事だと思います。移籍してきた選手にもクラブの熱量を感じてもらいたいです。
佐藤豪:
うーん。なるほど。
慶記さん:
移籍してくる選手にクラブの熱量を感じてもらえるように、クラブの文化や歴史を伝えていきたいです。それが役割なのかなとも思うんです。
編集後記:
前例のない歩み方であろう、慶記さんのセカンドキャリア。改めて感じたことは、キャリアの歩み方は一人ひとり異なるということ。慶記さんは、自分自身への理解が深いからこそ、前例もない中、自分らしく、新たなキャリアの歩を進めることができているのだと思った。
プレーしたクラブとの関係性も、次のキャリアを見据えるうえで、相互に良い関係性になりえることなどは、一つのロールモデルともいえる。
正解がないからこそ、自分で考え、行動して、成果を上げていく。アスリートとして成功するために必要な要素は、キャリアを変えても生きてくる、そう強く感じた。
第二話では、慶記さんの現役時代に迫る。15年もJリーガーであることができた理由とは。