INTERVIEW
【第一話】”高橋駿太さん(元カターレ富山)に迫る”【セカンドキャリア編】新たな挑戦。大切なことは、誰とやるか。
PROFILE
高橋駿太|カターレ富山 強化部スタッフ SHUNTA_TAKAHASHI
富山第一高等学校で活躍後、2007年J2モンテディオ山形に入団。 2009年に、当時関東リーグに所属していた日立栃木ウーヴァSCへ移籍し、JFL昇格に貢献。JFL1年目となった2010年シーズンはチーム最多の13得点を記録した。 2011年にはFC琉球へ完全移籍。2012年には20得点を記録し、JFL得点王を獲得するなど大活躍。 その後AC長野パルセイロで2シーズンプレーたのち、J2ザスパクサツ群馬へ完全移籍し、1年目にJリーグ自身初の2桁となる11ゴールを挙げる。その後、2019シーズンより、地元・富山のカターレ富山への完全移籍。 在籍中、左膝前十字靭帯損傷および内側半月板損傷の重傷を負い、全治8ヶ月と診断されるも、不屈の精神で計5シーズンプレー。 2023年10月3日に、2023年をもって現役引退を発表。2024年より、カターレ富山で強化部として活動している。
PROFILE
高橋駿太|カターレ富山 強化部スタッフ SHUNTA_TAKAHASHI
富山第一高等学校で活躍後、2007年J2モンテディオ山形に入団。 2009年に、当時関東リーグに所属していた日立栃木ウーヴァSCへ移籍し、JFL昇格に貢献。JFL1年目となった2010年シーズンはチーム最多の13得点を記録した。 2011年にはFC琉球へ完全移籍。2012年には20得点を記録し、JFL得点王を獲得するなど大活躍。 その後AC長野パルセイロで2シーズンプレーたのち、J2ザスパクサツ群馬へ完全移籍し、1年目にJリーグ自身初の2桁となる11ゴールを挙げる。その後、2019シーズンより、地元・富山のカターレ富山への完全移籍。 在籍中、左膝前十字靭帯損傷および内側半月板損傷の重傷を負い、全治8ヶ月と診断されるも、不屈の精神で計5シーズンプレー。 2023年10月3日に、2023年をもって現役引退を発表。2024年より、カターレ富山で強化部として活動している。
話者:高橋駿太
インタビュー:佐藤豪
今回インタビューを受けてくれたのは、高橋駿太さん。引退後は、カターレ富山に残り、強化部スタッフとして活動中。物事に真っすぐに取り組む駿太さんがなぜセカンドキャリアに強化スタッフを選んだのか、そして今どのように取り組んでいるのか、伺ってみた。
ーカターレ富山強化部就任への背景ー
佐藤豪
駿太さん、お願いします!
今はカターレ富山の強化部でお仕事をされていると思いますが、現役選手を終えて、セカンドキャリアとして、強化部の一員として働くにいたった経緯は、どのようなものだったのでしょうか?
駿太さん
そうですね。現役中に遠藤さん(カターレ富山 遠藤 善主強化部長)から、引退後に一緒にやらないかという話をもらっていて、本当に僕自身も、現役を終えた後も、遠藤さんと一緒に働きたいなと思っていたんです。
なので、引退したタイミングで、遠藤さんにぜひ一緒にやりたいと伝えたんです。そういった意味でいうと、遠藤さんからもらったその言葉が、大きかったですね。
遠藤さんの人柄も分かっていたので、ぜひ引退後に、一緒にやれたら、という想いを伝えて、それがきっかけで一緒に働くことになりました。
佐藤豪
そうなんですね。もともとの信頼関係があったわけだ。遠藤さんに、なぜそのような声かけをしてくれたのか聞いたことはありますか?
駿太さん
いやー、そうですねー(笑)。面と向かって聞いたわけではないですけど、強化という仕事は誰でもできるわけではないと思うので、これまでの信頼関係だったり、自分自身の人間性を見てもらってのことだと思います。遠藤さんも、地元の選手が、選手を終えた後に、クラブを支えていくことが良いと考えていたのかな?と思います。
佐藤豪
なるほど。遠藤さんと一緒にお仕事をして、どれくらいになりますか?
駿太さん
そうですね、もう半年になります。引退してすぐに遠藤さんと一緒にトライアウトを見に行ったのが最初の強化の仕事でした。
佐藤豪
もう引退されてすぐに仕事をされていたのですね。率直にどうですか?楽しめていますか?
駿太さん
いやー、楽しいですね。週末には大学や高校の試合を見に行ったりして、本当にいろんな選手がいて、この選手すごいなと思う選手を見ながら将来をイメージするのも楽しいですし、遠藤さんと話をして、どうやってチームを良くしていくかを考えるのが楽しいです。
佐藤豪
なるほど。具体的な、一週間単位での仕事のスケジュールはどのような感じなんでしょうか??
駿太さん
チームが休みの日はオフですが、基本的に毎日チームの練習を見て、映像で試合を見たり、週末は関東や関西、東海へ移動したりして視察などしています。富山では毎日練習を見ているので、選手のコンディションも把握できるようにしてますね。
佐藤豪
なるほど。強化部の仕事としては、スカウトすること以外にも、現在所属している選手の評価も含まれるんですか?
駿太さん
そうですね。練習を見て最終的には評価することも含まれるのかな。僕の仕事は主に選手を見つけてくることですが、遠藤さんは評価を含めもっと多くの仕事をしていると思います。
佐藤豪
なるほど。それで言うと、デスクワーク的なものも結構ありますよね??その辺はどうですか?以前苦手意識があると聞いていましたが。
駿太さん
そうですね、選手のリストをPCで作成したり、経費の書類を作成したりします。たまに遠藤さんに必要に応じて表等を作成するように頼まれることもあります。
ー刺激的な世界からのキャリアチェンジ。苦労したことはー
佐豪豪
セカンドキャリアに移行する中で適応するのが難しい、苦労した部分はありましたか?
駿太さん
まだ半年ですが、一番苦労したのは生活リズムの違いです。引退して最初の一ヶ月二ヶ月は、いろいろ考えてしまって、これからどう生きていけばいいのかと悩むこともありました。
佐藤豪
そうだったんですね。
駿太さん
引退後の一定期間、これからどうやって生きていけばいいのか、モチベーションがなくなってしまった感覚があって、苦しかったです。サッカー選手の時は毎日刺激的で、その刺激がなくなったことで悩むこともありました。もちろん今やらせてもらっている仕事は楽しい部分も多くあるんですけど、やっぱりあの刺激的な毎日っていうのは特別なものだったんだなと感じました。
佐藤豪
時間が経つごとにその悩みは解消されましたか?
駿太さん
今は全然大丈夫ですが、最初の頃は、刺激を感じることがなかなかなかったので、毎日が苦しかったです。やりがいはありますが、以前のような刺激がなくなったことで少し落ち込むこともありました。
佐藤豪
セカンドキャリアを迎えた人にそういう悩みを持つ人が多いんでしょうね。サッカー選手の刺激的な世界から一般社会に移行するのはそういった部分で、難しいのかもしれません。
駿太さん
そうですね、少ししんどい感じでした。
※ここで、同席していた、鈴木崇文(アスリートバリューCEO)に投げかけてみた
佐藤豪
ちなみに崇文は、退職後の適応についてはどうでしたか?
鈴木崇文
俺は、もう目の前のことに一生懸命で、考える時間がなかったです。土日もずっと仕事のロープレや訪問先の企業のことを調べたり、トークスクリプトを覚えたりしていました。
佐藤豪
なるほどね。夢中にならざるを得ない状況だったんですね。
鈴木崇文
そうそう。
佐藤豪
でも、駿太さんの感覚の人も多いんだろうなと思います。でもそれって、時間が解決したのか、自分で納得したのか、その辺についてどう思いますか?
駿太さん
僕の性格上、切り替えが早いので、悩んでいたけど、ポンと忘れてしまうところもありました。でも、本当に悩んだらやばい状況でしたね。
佐藤豪
なるほど。考えても仕方ないと思って切り替えたんですね。それはすごいなと思います。
駿太さん
そんな感じですかね。
佐藤豪
やっぱり刺激的な世界から一般社会に移ると、その差が大きいですよね。セカンドキャリアの準備として、パソコンのスキルなんかに注目されたりもしますが、気持ちの面での準備も必要なのかなと感じますね。
駿太さん
うーん。
佐藤豪
駿太さんの場合は強化という、割とこれまでとも距離感が近しい仕事だったので楽しみや喜びを感じる側面があると思いますが、そうでない人も多いと思うんですよね。そういった中で、次のキャリアに移りやすい準備が必要だと思うんですが、その辺についてどう思いますか?
駿太さん
僕は選択肢があるという意味で恵まれていましたが、何もない選手も多いですよね。そういった意味でいうと、現役中に世の中のことをもっと知るべきだと思います。社会のことを知り、自分を広げることが大事だと思います。
佐藤豪
なるほど。選手はサッカーに集中すべきだという意見もありますが、、、特に若い頃とかはどう思っていましたか?外に目を向ける意識はあったか、など。
駿太さん
正直僕自身は、若い頃はサッカー以外に全く興味がありませんでした。(笑)でも、今思えば若い時から社会のことを知り、自分を広げることが大事だと感じます。
佐藤豪
なるほど。実際、駿太さんはJLINEアカデミーを受けましたが、受けて良かった点はありますかね?
※JLINEアカデミー=アスリートバリューが運営する、Jリーガーのニーズに合わせた、様々なプログラムを提供する場。
駿太さん
そうですね。まず人とコミュニケーションを取る部分や、パソコンのスキルなど、今まで自分がやってこなかったことを学ぶことができたのが良かったですね。普通に企業で働く人の話を聞くだけでも刺激になりましたし。
佐藤豪
なるほどなるほど。
駿太さん
自分自身、JLINEアカデミーを受けて変化を感じたことがあったんです。
新人研修のズームミーティングで、各チームの新人選手が集まり、25分間でテーマに応じたトークセッションをする、っていう場面ががありました。その場面の進行をするんですが、それが、自分が思った以上に、にできた感覚があったんですよね。JLINEで学んだことがあったからだと思います。
佐藤豪
そうでしたか!25分って短いようで、長かったりしますよね?
駿太さん
そうですね。最初は大丈夫かな?と思ったんですが、人前で自分の考えを話すことや、コミュニケーションのとりかたを学んでいたことが役立ったなと感じました。
佐藤豪
でもそういった変化を感じてくださっているのは嬉しいです。
駿太さん
そうですね。JLINEでの経験は、成長につながったかなと思います。
ー駿太さんが感じる、Jリーガーとしての経験が活かせる要素とは、そして、これからー
佐藤豪
話は少し変わるんですが、セカンドキャリアを迎えるにあたって、現役中の経験やスキルが生かされる部分って、あったりしますか?
駿太さん
そうでね。。当然わからないことも多いですが、トライしてみることが大事だと思うんですよね。自分は負けず嫌いな性格もあり、わからないことは聞きながら、どんどん前向きに取り組んでいる感覚です。選手時代も、どんどんトライしていこう!と思ってプレーしていたので、そういった姿勢の部分は活かせる部分かなと思います。
佐藤豪
なるほど。今も不安なことがあっても、とりあえず進むという感じですか?
駿太さん
そうですね。ミスしても切り替えて進んでいくことが大事だと思います。サッカー人生でも挫折や失敗がありましたが、それが前進する上での糧になっていた様な気がします。
佐藤豪
ありがとうございます。最後に、強化部で働く中で、今後に向けて、どんな楽しみや展望がありますか?
駿太さん
今のところ、地元のカターレのために、良い選手を見つけて、選手に寄り添いながらサポートすることを考えています。また、空いている時間にサッカースクールに顔を出して子どもたちと触れ合いながら、サッカーに興味を持ってもらえるような活動をしたいと思います。
佐藤豪
富山のシンボリックな存在として、クラブを大きくしていく存在になってほしいです。
駿太さん
はい、ありがとうございます。
編集後記:
現役時代から、駿太さんのイメージといえば、とにかく”真っすぐで熱い人”というものであった。怪我を抱えながら、チームのために走る!その想いがプレーから伝わってくる、そんなプレーヤーであった。
セカンドキャリアを歩みだしてからもそれは全く変わらずで、駿太さんらしく、真っすぐに今やるべきことに向き合っていることが伝わってくるインタビューであった。その真っすぐさが、人々をひきつけ、周囲を巻き込んでいく原動力なのだと思う。
セカンドキャリアの歩み方は、当たり前だが、人それぞれ。これは何もJリーガーやアスリートに限ったことではなく、転職が当たり前の個の時代においては、一人一人のビジョンや個性によって、無限の道筋がある。
だからこそ、自身の特徴や軸を理解し、最後は心の動くほうへ動く。駿太さんの軸は、”人”や”地元への貢献”なのだろうということをひしひしと感じた。