INTERVIEW

INTERVIEW
2024.12.22

【第一話】現役生活18年を支えた”継続する力”とは/修行智仁

修行智仁|FC今治

PROFILE

修行智仁|FC今治 TOMOHITO _SHUGYO

修行智仁(しゅうぎょう ともひと) 1984年6月29日大阪府大阪市出身。 立命館大学卒業後、当時JFLのガイナーレ鳥取に入団。その後、FC町田ゼルビア、大分トリニータ、FC今治と計4クラブでプレーし、2024年シーズンをもって現役を引退。 在籍4クラブで5度のカテゴリー昇格の経験を持ち、選手やスタッフからの信頼の厚い選手として重宝された。

修行智仁|FC今治

PROFILE

修行智仁|FC今治 TOMOHITO _SHUGYO

修行智仁(しゅうぎょう ともひと) 1984年6月29日大阪府大阪市出身。 立命館大学卒業後、当時JFLのガイナーレ鳥取に入団。その後、FC町田ゼルビア、大分トリニータ、FC今治と計4クラブでプレーし、2024年シーズンをもって現役を引退。 在籍4クラブで5度のカテゴリー昇格の経験を持ち、選手やスタッフからの信頼の厚い選手として重宝された。

【はじめに】

今回インタビューを受けてくれたのは、2024年シーズンを持って現役引退を発表されたFC今治 GK 修行智仁さんです。プロ選手として歩んできた18年という長いキャリアには、特別な才能だけでなく、継続的で地道な努力がありました。 修行さんのこれまでのキャリアを支えてきた強みやスキルについて、実体験に基づいたお話を伺いました。

様々な巡り合わせによって、プロのサッカー選手へ

合計18年間のプロサッカー選手歴、4クラブで5度のカテゴリー昇格の経験がある修行智仁さん

鈴木

それでは早速お聞きしたいんですけど、修行さんはプロになって18年目とのことですが、プロになれた理由は何だと思いますか?

修行さん

自分がなんでプロになったのか。
タイミングと巡り合わせは大いにあるかなと思っているかな。
いわゆるすごく実力があってとか、学生の頃からすごい注目されているような選手ではなかったんで。

最初に入団したのはJFLのガイナーレ鳥取だったんですけど、すごい才能に溢れていたとか、将来を有望されていたとかではなかったです。
大学を卒業してもサッカーを続けたいという思いの中で、いろんな出会いがあって運良く鳥取に入団させてもらいました。

鈴木

運よくいろんな出会いって、具体的にどういうことです?

修行さん

僕が大学4年生の時、同じ大学にディフェンスで、Jリーグのクラブから声がかかる選手がいたんですけど、たまたま色んなチームのスカウトの人が見に来た試合で僕が活躍したんです。

それをきっかけに全然違うJリーグのチームから、練習に来て欲しいと声をかけてもらって参加したんですけど、獲得するまではいけないっていうので、その話がまた別のチームにいきました。

その1つがガイナーレ鳥取で、ゴールキーパーを補強したいということで入団が決まったんです。
なので、確実に巡り合わせというのはあったし、自分は注目されるような選手でもなかったので、運が味方したかなとは思っていますね。

鈴木

なるほど。ちなみにそれっていつ頃でした?

修行さん

大学4年生。秋、冬。正式に決まったのは冬やったと思う。
もう浪人かと思っていました。

鈴木

やっぱりその時期になりますよね。
当時、自分の強み・武器だったものはありますか?

修行さん

大学生4年生の時ですよね。
その時は、安定感のあるプレーをするということは、キーパーとして大事にしていたと思いますね。
練習も沢山して、自分なりに努力していたとは思うけど、強みとかはわかっていなかったですね。 

鈴木

そうなんですね。
ちなみに、安定感ってどうやって作られるんですか?

修行さん

ゴールキーパーに関しては、プレーを整理して、常にいいポジションから全部プレーをスタートするようにして、基本的な技術のレベルを頑張って上げていくこと。いいプレーをしようとしないというか、すごいプレーをしようとするとその分ミスも出てしまうんですけど、大学生の時の自分は、いいポジションから自分のできるプレーをやるという安定感が、キーパーとして一番大事なことだと思っていたので、そういうプレーを選んでいましたね。

鈴木

そのプレー整理する上で、具体的にどんなことやっていたんですか?

修行さん

サッカーノートを書いて、ここにいるときにこういうポジションに立とうとか、ボールがここにある時はここに立っている、こういう問題になったらちょっとそこにずれるとか、シュート打たれる時にこういう構え方をつくろうとか、絵を描いたりとかをやっていました。

鈴木

それは独学で、自分ひとりでやっていたんですか?

修行さん

大学の時はそうやね。
でももちろん映像を見たりとか、他の先輩がいる時は先輩から聞いた話を参考にしたりとか、人のプレーを盗んだりとか。
サッカーノートは今も続けているんですけど、今はコーチに聞いたりとかして書き足していきます。

現役最後のシーズンのサッカーノート

鈴木

今、何冊目くらいですか?

修行さん

段ボール箱が何個かあってほぼ実家に置いているんですけど、年間で何冊か行くんで、もうえらい数ですよ。

鈴木

すごい。宝物ですね。

修行さん

すごいよね。昔のと今のとでは全然違うとは思うけど。

鈴木

書いてる内容とか質が違いますよね。最初の方ってもしかして感情論とかが入っていそうな気がする。

修行さん

勝った、勝ちたい。みたいな。でもそういうのを出すのも大事だとは思うけどね。

鈴木

なるほど。町田にいた頃もやっていた印象あったけど、まだ続けていたんですね。

修行さん

続けてるよ。今も。

実家においてある過去のサッカーノートを入れている段ボール。他にも何箱か溜まっているようです。

どんな状況でもやるべきことを100%でやりきること

どんな状況下に置かれても自分のやるべきことを100%やり切ることが大切と言い切る修行さん。それは試合に出ていても出ていなくても同じである。

鈴木

ありがとうございます。
では次に、プロになってから身についた自分の強みはありますか?

修行さん

強みね。
自分の中で大事にしてきたのは、今目の前の自分のやるべきことに、本当に100%でやるってこと。若いころからずっと言われ続けてきたっていうのもあるんですけど、でももう結局それやなって思ってる。
1番大事にしているし、1番自分に言い聞かせていることではある。
僕が25、6歳くらいの時に当時35.6歳だった吉田さんに出会ったんやけど、あの人はもうベテランの域までキーパーをやっていて。
どうやったらそこまでできるのかという話でずっと言われていたのは、”過去とか未来とかじゃなくて、今目の前にある自分のやらなあかんことを100%でやること、それをただ続けるだけ”っていうのはずっと言われてた。
だから、それは軸としては1番大事にしてるし、今も変わらずやって来たことの1つではあるかな。

鈴木

それをやり続けることによって、一周まわって行きついたみたいなこと言ってたじゃないですか。それはどうして気が付いたんですか?

修行さん

例えば、最初に今やるべきことをやっていくやんか。
そしたら いろんな状況が出てくるわけよね。
例えば試合に出れなかったり、めちゃくちゃ活躍する試合があったり、自分のミスで負ける試合があったり、監督に全く評価されなくて蚊帳の外みたいな状況になったり。

でもどういう状況になっても、今目の前にやるべきことは必ずあって、それがトレーニングかもしれないし、食事かもしれないし、治療なのかもしれない。
で、結局そこに集中していると、メンタル的にもすごく安定するし。
最初はそれをやっていて、ただ淡々と自分がやってるだけで、そこに情熱があんま乗ってない気がした時期もあったんよ。

鈴木

えー、それいつ頃ですか。

修行さん

それね、30歳を超えたくらいかな。周りから見ると、ただ自分のやるべきことをやってりゃいいっしょって、淡々とやってるだけに見えてるんちゃうかなとか思う時期はあった。

でも、自分がその時にやるべきことの枠をちょっと広げて、チームにもいい影響を与えるということをその枠の中に入れ込んでしまえば、自分のやるべきことの枠が広がるんよね。

自分だけに向き合ってるわけじゃなくて、若手にも声かけるし、チームにも声かけるしっていう自分のやるべきことの枠を広げてあげると、幅も広がるから、 それで行けるなと思ってそこに帰ってきた。

鈴木

それが大分がJ2に昇格した年くらい?

修行さん

そうやな。その時期は特にそうやったね。

今、FC今治で岡田武史さんとかと一緒に仕事させてもらっているけど、その岡田さんが発する言葉も結局一緒で。
あそこまで行った人も言ってる根本のところは、”今やれることはやれ”ということをずっと言ってる。
それをしかも全力でやれ、100%でやれって言われるから、結局これで間違いないなって思えてるかな。

鈴木

そっか。じゃあ1番大事にしてること、身についた強みっていうのは、今目の前のことを100%やりきる、というところに行きついたということですよね。

修行さん

そうだね。

鈴木

ずっと100%でやってる印象はあるけどね。

修行さん

うん。でも100%でやり続けるって難しいんよ。
だから、いろんな状況に置かれた時に、自分でその状況をどう捉えるかっていうテクニックは身についたとは思う。
置かれた状況はこれまでも様々やったし、 結構周りから見たらきついなって思われる状況でも、捉え方次第でいくらでも自分で100%に持っていけるんで、そのテクニックは身についたかなとは思うね。

鈴木

でも、ずっと試合に出続けているわけじゃないですもんね?

修行さん

そうやね。
今治に来て3年間くらいは安定してずっと出てたかな。
それ以外では、出れる時があったり、出れなかったりとかを繰り返してたかな。まあ嫌でもそうなるよね。

鈴木

僕が町田で一緒にやってた時も、そういう話をずっとしてた記憶がある。

修行さん

町田の時は、完全に2番手のキーパーとしての扱いからスタートしてたからね。

第一話後記

プロサッカー選手になったきっかけを「色んな出会いがあって運よく入団できた。」と語る修行さん。しかしインタビューをする中で見えてきたのは、日々やるべきことを100%全力でやり続けるという「地道な努力」と「継続する力」でした。

第二話では、なぜやるべきことを全力でやることが大切なのかをさらに詳しくお話いただき、将来プロになりたい人へのメッセージもいただきましたので、ぜひお楽しみに。