INTERVIEW
【第三話】目標は「カップ麺になる」飽きさせない成長するラーメン店に
PROFILE
盛田 剛平|盛田軒 もりけん ~もりたラーメン研究所~ kouhei_morita
愛知県名古屋市出身。浦和レッドダイヤモンズでプロキャリアをスタートし、7チーム、合計19年ものキャリアを積み重ねた。引退後は浦和レッズのハートフルクラブにてコーチを務めていたが、兼ねてより公言していたラーメン屋さんを2023年にオープン。コーチ兼ラーメン屋オーナーという二足の草鞋を履き、異色のキャリアにチャレンジしている。
PROFILE
盛田 剛平|盛田軒 もりけん ~もりたラーメン研究所~ kouhei_morita
愛知県名古屋市出身。浦和レッドダイヤモンズでプロキャリアをスタートし、7チーム、合計19年ものキャリアを積み重ねた。引退後は浦和レッズのハートフルクラブにてコーチを務めていたが、兼ねてより公言していたラーメン屋さんを2023年にオープン。コーチ兼ラーメン屋オーナーという二足の草鞋を履き、異色のキャリアにチャレンジしている。
今だからできることを優先して
ー引退後はレッズのハートフルクラブで指導者になりますが、キャリア、人生設計をどのように考えていましたか?
自分の中でなにをするのかという優先順位は考えていました。ハートフルの活動ではアジアへ行って子どもたちとサッカーをしたり、東北の被災地へ行ったりします。すごくやりたいなと思いました。
もし引退してすぐにラーメン屋を始め、うまくいかなかった後に「ハートフルに入れてもらえないですか?」と聞いていたら絶対に入れないです。
ラーメン屋は後からでもできますし、アジアや被災地で気持ちの部分を伝えることに魅力を感じ、まずはハートフルを選びました。
ースクールのコーチとか、巡回指導をしながらだと、他のことをする時間はあるのですか?
事務局がきちんとあるので、夜まで事務作業、報告書作成をするといったことがないんですよ。だから、時間はありますね。
ーそこで、将来お店を始めるための勉強をしたりもしていたのですか?
全然してないですね。レッズのファン感謝デーのときに少しラーメンを出させてもらったりはしましたが、ずっと食べていただけです。
ただ、そういうのを続けてる中で、将来が見えないなという感じはありました。2年前くらいから、生活もあるので今の仕事を続けながら(ラーメン屋を)できる方法はないかと考えていましたね。
サッカー選手の立場を活かしてできること
ーサッカー選手も起業する方は多く、検討しているのであれば、現役中に勉強した方が良いと思いますか?
(経営は)大変ですよね。勉強は絶対にしておいた方が良いと思います。あとは、僕らも頑張って、経験を伝えていった方が良いですよね。苦労は必要ですけど、無駄な苦労、「これを知っておけば、こんなことにならなかった」という失敗はしてほしくないです。
サッカー選手になれる人は本当に一握りの人材で、それなのに引退したら職がない、十数万円しかもらえていないという状況は、僕の中で寂しいんですよ。
ーただ、勉強に手が付かない、サッカー以外の夢が持てない選手も多いでしょうね。
すがっている感じはありますよね。みんななんとか続けたい、上を狙いたいという気持ちがあると思います。ただ、本当に叶う人は少ししかいないのが現実なので、サッカー選手という肩書をうまく使えば良いんではないでしょうか。
個性を出すことで、普通の人より見てくれる人は絶対多いですし、話題にもなりますから、そういう場に使っても良いと思っています。
ちやほやされてるうちに、 自分のサッカー以外の面を知ってもらったり、人との繋がりを持っておくことも大事かもしれないですね。
ーいろんなところに移籍するので、その都度出会いも作れますよね。
そうですね。だから、コミュニケーションもすごく大事です。本当にどこからなにが転がってくるかわかんないですからね。
僕にはラーメンというツールがあって、話しかけやすかったと思うので、それは良かったのかなと思います。
僕は別に商売になると思っていなかったのですが、発信していくことで注目されたり、見えてくるものがありました。
最初に「ラーメンが好きで良かった」と思ったのは、雑誌のラーメンの紹介に載ったときでしたからね。
ー盛田剛平選手がおすすめというようなことですか?
そうです。そこから目標を少しずつ上げてみて、最終的には、カップラーメンになりたいなと
2つの夢を叶えるための場所に
ー人気店の証ですよね。そうなれば、世の中、サッカー界にも貢献できます。
セカンドキャリアについても、お店を持つ前からの理想として、引退してなにもないけど、ラーメンに関わりたいという人のための受け皿になれればなと。
初期投資も少なくて、経営を任せられるような形態をつくってあげたいなと思っています。
綺麗ごとではなく、自分たちもお金を稼げて、そういう人たちに経験やノウハウを伝えたり、アドバイスできる仕組みができたら一番良いですね。
ー選手がオフにインターンしに来たりすることも?
それはもちろんですね。すでに、社会人のチームにもし誰かやりたい人がいれば受け入れますよと声をかけているんです。
やっぱり、自分も仕事がもう一つあれば、現役中に(選手としての)給料が少なくても、サッカーを続けられたという想いがあります。
最近はサッカーに限らず副業OKの流れがありますし、自分自身、大きなクラブ(レッズ)にいる身でありながら、こうして(ラーメン屋を)やらせてもらえていますからね。
メインはあっち(ハートフルの活動)に置かなければいけないですが、社会としても(副業への)理解が深まっているので、やりやすいと思います。
ただ、それで失敗しないためにも情報発信をしたり、「サポートがあるから現役を一生懸命やればいいよ」と言えるような形が作れればなと。そうしたら、サッカー選手でなくなっても、2回目の夢を追えて、第二の人生も楽しくなる。
1回も夢を叶えられない人も多いのに、サッカー選手の夢、次の夢を叶えられるのはすごく良いことですよね。
ーサッカー選手の平均引退年齢は25、6歳で、その頃の自分にはどんなアドバイスを送りますか?
20代であれば、全然やり直しはできると思います。
だから、その頃に関しては「もっとサッカーと向き合え」とか、「一生懸命やれよ」と言うかもしれません。
自分は運良く長く現役を続けられ、だから気づけたものがたくさんありますが、若い頃には絶対分かりませんし、言っても理解できないでしょうね。
大体、その時期にクビになるのは、能力が足りないから。そうであれば、すぐに切り替えれば良いんです。
うまくても辞める選手は、チームと馴染めなかったり、監督の求めているものと違うことをしているとかですよね。それはたくさん見てきましたがもったいない。
生き残るためにどうするのか、自分と向き合い客観的に見て、やれることをどんどんした方が良いのかなと感じますね。
ー盛田さん自身の選手としての後悔はありませんか?
後悔はたくさんありますよ。でも、後悔なしで終わることありますか?それを自分の中で納得させていく作業だと思います。
ラーメンを研究し、成長し続ける店舗
せっかくオープンされますので、お店のこだわりやアピールポイントも教えてください。
(盛田軒 もりけんという店名の)下にもりたラーメン研究所というのがついているんです。
たとえば製麺についても、僕もみんなも成長しているんですよね。そんなラーメンを突き詰める、研究・成長する場所だと思っています。
もちろん、お店の味、定番は出していきながらも、自分の味やラーメン道場に行って学んだことをどんどん出していきたいです。飽きさせないラーメンを提供したいですし、あとはたくさんのラーメン屋に行ってきたからこそわかる「また来たい」と思わせる店にしたいですね。
ラーメンの味だけでなく、店員の方の雰囲気を含めての飲食店なので、その点はスタッフにも話しています。
あとは、従業員に関しても、ずっとここで働きたいと思ってもらいたいですね。本当に初めてなので、手探りでたくさん失敗するかもしれないですが、そうしていいお店にして、多店舗展開や通販も採り入れ、大きくしてきたいです。
ー現段階での味はいかがですか?
基本的には2種類で、1つ目が淡麗の魚介スープ。もう1つが豚と鳥をしっかりと炊いて、魚介を合わせた濃厚中華そばです。
それがまずは看板で、あとは台湾まぜそばのようなメニューもやっていきたいと思っています。
麺は自家製麵で、弾力、噛み応えのある強い麵を出します。つけ麺では変えてようと思っていて、そこも研究している段階です。
ー「うちの味はこれ」ではなく、成長していこうというのは、アスリート志向なのですかね?
もしかしたら、まだ見つけられてないだけで「これだ」と思えば、それで売り出すかもしれません。
そこは日々追い求めています。クラウドファンディングでもパートナーを募集しましたし、サッカーの要素も採り入れながらやっていきたいですね。
ーゆくゆくは、カップ麺ですね?
海外にも展開したり、カップに麺なったら最高ですね。店を始めることが、夢の達成ではないので、これからいっぱい苦労していきます。