——サッカー選手から社会人になって、それまでとの違いで苦労した点はどんなところでしたか

言葉遣いを知らなかったので。上司にミスがあったとき「ドンマイ、ドンマイ」と声をかけて、「お前の口のか聞き方はなんだ」とケンカみたいになったこともありました。最初は生意気だと思われていたでしょうね。

——働き方で社会人とサッカー選手との違いはどこにありましたか

長く一緒に働く人たちがいるということですね。プロサッカーチームは移籍や契約満了でどんどん入れ代わっていきますから、遠くに離れて連絡も頻繁には取らなくなったりしますが、会社だと仲のいい人とずっと一緒にいることになりますから、それは楽しいですよ。

——社会人になって苦しかった経験は

入社したときから、役職が上がってきた後も、どの時代も苦しいことは必ずありました。「ずっといい」ということはないですよ。

——現在の部下はどれくらいいらっしゃいますか

5支店を管轄しているので、50人ぐらいだと思います。助けに行ったりフォローしたり、車で各店舗を走り回っていますよ。

——現在の目標は？

実は会社に入るとき、目標を聞かれて「社長になりたい」と言いました。みんな笑って「お前はどうせすぐ辞めるよ。サッカー上がりで生意気だ」と言っていましたが、下川会長ともうお亡くなりになった部長だけは真剣に聞いてくださいました。だから今でも社長になるまでがんばりたいと思っています。

——仕事で楽しいことは何ですか

一番はお客様に喜んでいただけることですね。そしてお客さんに喜んでいただけたら会社のみんなもうれしくなりますし、会社の売上も上がって多少なりとも給料に反映しますから。だから仕事が終わってお客様に喜んでいただくのが今一番うれしいですね。

——この業界はどんな人が向いていると思いますか

基本的にスポーツをやっていた人ならまず間違いなく大丈夫です。特にJリーガーになるくらい打ち込んでいた人なら、何の問題もないでしょう。みんな負けず嫌いですから。大学のサッカー部の後輩がよく入社してくるのですが、やっぱり成果出していますね。

——今、引退やその後の社会人生活を考えている人にアドバイスをお願いします

僕が偉そうなことは言えませんが、まずサッカーが好きで、その関連の仕事を続けたいのなら、それがいいと思います。今でもサッカー関係の人と話していると、もう一度あの世界に戻りたいという気にもなりますから。

でも一度社会を経験して勉強したいと思っているのなら、それまでとはまるで関係のない職業に飛び込んでみるのもいいと思います。どんな職業でも、たぶん大丈夫です。

なぜならプロになるくらいの選手はサッカーをやっている人たちの中でも一握りです。プロまでたどり着けた人なら、他の仕事をしても「大した苦労じゃない」と思えるでしょう。僕も「高校時代のトレーニングに比べたらどんなことにも耐えられる」と思っていますよ（笑）。